韓国
第1節 韓国のフツーな人々

式場に着くまで四苦八苦

2004年暮れ、なんとその年3度目の訪韓をする事になった。生涯では通算5度目である。

10月末、カナダ時代の友人から年末に結婚すると連絡があった。新婚旅行には日本に行きたいと思っているけど、どうだろう?と相談されたのだが、年末の日本に来て貰ってもあまり面白いモノもなさそうだと思ったので、やめた方が良いかも、と進言した。彼女も色々と考えた末、タイに行く事に決めたのだが、そうこうするうちに何故か筆者の方が彼女の結婚式に参列する事になっていた。

実際、韓国の結婚式がどのような物か興味はあったものの、短い時間の結婚式のためだけにわざわざ外国に出掛けるほどの事でもない。が、確か毎年この時期、知り合いがマジックショーを開催している事を思い出したので、今年もあるかどうか訊いてみた。こちらも、マジックショーだけのために行くほどの事でもないが、それ1つでは行くほどの事でもない用事が2つ、たまたま同じ時期にあったら、まァ、行ってみても良いのではないだろうか。その上、前々回の訪問で知り合った人や、新たにできたペンパルなど、韓国で会いたい人はたくさんいる。結婚式を挟んで1週間ほど行っても、まァ退屈はしまい、という事でぱぱっと判断して、ちゃちゃっと飛行機を予約してしまった。

さて、11月半ば過ぎ、式は何処で何時からあるのか、式次第はどんな風で、何時に終わるのか、正装する必要はあるのか、などなど、詳しい事をメールで訊ねたのだが、彼女からは一向に返事が来ない。仕方ないのでもう1度同じ内容のメールを送ったら、「既に返事を書いたはずなんだけど」というメールが来たので、受信メールのバックアップログを見てみたが、彼女からのメールはなかった。送ったつもりで送っていなかったりしたのではないだろうか?その上、「返事を書いたはずなんだけど」というメールにも、筆者が訊ねた事柄の回答は書かれていない。まァ、元から少々抜けた所のある子なのだが…。仕方ないので、もう1度メールを送った。

飛行機の空席の問い合わせをしたのがあまりに早かったため、旅行社の人が12月初旬まで予約を確定するのを待ってくれていたのだが、「確定してもよろしいでしょうか?」という確認メールがついに届いてしまっても、まだ彼女からは詳しいお知らせが来ない。ともすれば、そもそも結婚式に出席する事を第1目的にはるばる韓国まで出掛けて行って、結局出席できずに帰って来る事も有り得るかも、と危ぶんだが、取り敢えず航空券の手配はして貰った。

彼女の家は前年に訪れていたが、住所と電話番号は聞いていなかった。唯一残っていた連絡手段は、彼女の携帯電話。が、彼女はここ1年ほどカナダに行っていたため、まだ同じ番号で契約しているかは危うい所だ。しかし、もはや手はこれしかない。思い切って電話をしてみたら、果たして繋がった…。ヤレヤレ。電話をかけた直後、筆者の方からメールを送り、念のためいくつか別のメールアドレスも付記しておいた。彼女はすぐに回答をくれ、ようやく必要最小限の情報を得る事ができたのだった。

ところが。

式の当日、筆者は高速バスのターミナルからタクシーに乗り、友人本人が書き送ってくれた、ハングル表記の教会の名を運転手に見せた。その名は「サチャンドン聖堂」、タクシーで10分くらいの所だったが、到着した所は結婚式があるような様子はない。取り敢えず、中に入ってそこにいたオジさんに訊いてみると、

果たして、本日は結婚式などないという。そして「サチョンドン聖堂」の間違いではないか、と言う。しかし、韓国人の友人本人が書いたその教会の名前が間違っている事など(普通なら)有り得ない、と思った。そこで電話を借りて、友人に連絡を取ってみる。果たして、友人がいたのは「サチョンドン聖堂」なのだった…。

ああぁ…。

恐ろしいのは、友人が書き間違えた地名が存在し、更にその名を冠した教会が存在した事である(「~ドン(洞)」というのは日本で言う所の「~町」のような区画単位)。タクシーに乗った時に「そんな地名はない、そんな教会もない」と言われれば、事はもっと簡単だっただろうに…。彼女はハングルと一緒にアルファベットでも書いてくれていたのだが、そこにもしっかり、”SACHANG Catholic Church”とあったのだった。まァ、最終的に辿り着けたから良かったんだけどさ。でもタクシー代が2倍かかったのは痛かった…。