ルームメイトの悲しみ

ゲイのカップルと同居していた時の事。

ある日、突然訃報が入った。片方のお母さんが亡くなったのだ。二人は別の方のお母さんの家へ遊びに行って帰ってきたばかりだった。いつも陽気で、筆者にとっては優しい「お姉さん」みたいだった彼が、肩を落とし、目を真っ赤にしてさめざめと泣いていた。

筆者は一時帰国するため、間もなく彼らの所を引き払う事になっていた。しかしそれまでには戻って来られないという。そして、「あなたが日本に帰ったすぐ後に、友達の結婚式があるの」と楽しそうに話していた計画も、当然キャンセルしなければならなくなった。

当事者の方は連絡を受けた翌日の午後、慌しく車でカルガリーまで出掛けて行った。もう一人も二日遅れて飛行機で旅立った。残されたのは筆者一人と猫三匹。お元気な方のお母さんの家で摘んできた大量のりんご。アップルパイを作るつもりだったのだという。そして冷蔵庫の野菜。「帰ってくる頃には悪くなっちゃうからあなたが食べて」と言ってくれたが、「友達から貰った摘みたてのトマトなの!」と、嬉しそうに言っていたのを思い出して、なんだかとっても切なくなってしまった。

肉親を失った悲しみは何物でも埋められないけれど、早く元気に暮せるようになって欲しいとつくづく思った。