韓国
第6節 釜山再び

毎日物を失くす

こともあろうにこのアタシ、韓国にいる間、毎日のように失くし物をしていた。

まずはパソコンのマウス。何故マウスナゾ失くす?仕事が終わってヤドに帰ると、どっかり机の前に陣取ってパソコン画面に向かうルームメイトが。金の勘定もあるのでなるべく人に見られたくなかったし、なにより疲れを取るために風呂に浸かりたかったため、パソコンを持って地下にあるサウナに行くことにした。

韓国ではごく一般的な温床式のチムジルバンと呼ばれる乾式サウナは、広い公衆浴場、大きなロッカー、ネットカフェ(PCバンという)や食堂を兼ね備えたかなり便利な施設。出先で帰りが遅くなったときなどヤド代わりに使えるし、友達同士でチムジルバンに泊まりに行く、なんてことはごく普通のことだ。

で、そこのPCバンで自分のパソコンを開く、という些か変則的なことをした挙句、どうやらここにマウスを置き忘れて退散してしまったらしい。気付いたのは翌朝。チムヂルバンに戻って確認させてもらい、更に掃除のオジサンにも訊いて貰うが、結局見つからずじまい。タッチパッドでは仕事がしにくいことこの上ないので、仕事に出かける前に既に常連さんになりつつあるスーパー、ホームプラスへ行ってマウスを購入。幸い手頃なものがあったのだが、続いて…

仕事先で時間を見ようとして、カバンに入れたはずの計算機兼世界時計を探したのだが、見つからない。朝、これをもっていかなきゃ、とベッドに置いたところまでは記憶があるのだが…入れ忘れたのか?が、夜部屋に帰って探したが、見つからない。クレジットカードのポイントをためて貰ったものなので、まー諦めもつくのだが、小振りで携帯性が良く、携帯電話と間違われるような洒落たデザインや、世界主要国の現在時間が表示できる便利なところが気に入っていた。それにアラームを目覚ましに使っていたから、やはりないと困る。仕方なく、翌朝再びホームプラスへ。エセGショックじみたデザインの安物を購入。これでよし、今日は最終日で忙しくなるから早めに行かなきゃ!と仕事場へ向かう途中…ふと、持っていたはずの上着がないことに気付いた。

お~い…

朝ごはんを食べた食堂を出る時は持っていた記憶がある。そこからホームプラスへ行く途中か、ホームプラスの中で落としたのに違いない。上着のポケットには仕事場への入場券も入っていた。探さねば…

食堂へ戻って「黒い上着はなかったですか?」と訊いてみたものの、アタシの韓国語能力はせいぜいここまで。その先、オバサンが何かを答えてくれたものの、テンでわからない。うぅ…(;´Д`)
次はホームプラスへ行き、歩いたところを見て回り、店員さんに館内放送までしてもらうが見つからず。仕方ない…

幸い入場チケットは別の物も持っていたので会場には入ることができたが…かくかくしかじかで散々だったのですよ、このところアタシってば抜けまくってて…という話を知り合いのオバサンにすると、「ダメじゃないの!しっかりしなきゃ!」と本気で叱られてしまった。とほほ。この上着の穴埋めは、韓国滞在最終日、「友人だった人」に裏切られた直後の鬱憤晴らしの買い物において完遂される。

が、失くし物はこれで終わりではなかった。

最終日のその日、筆者は本作りが趣味の父のために韓紙を買った。その後本屋で買い物をしたり昼ゴハンを食べたり、ハハに頼まれていたお土産を買いに行ったりした。そして買った物を置きに一旦ヤドに戻った。夕方、知人に会いに出かけたその道中の地下鉄の中で、ふと、父のために買った韓紙をヤドの風景の中に見ていないことに気付いた。

ぁらら…またやっちまったか…

どーしてしまったんでしょーねー、あたしったら~。

少なくとも、昼ごはんを食べた食堂を出る時には持っていた記憶がある。その後立ち寄ったのは、ハハの土産を買うために寄ったコンビニと小規模小売店。翌朝は帰国の途につかねばならず、9時半にはヤドを発たなければ。そして、韓国の朝は殊更遅い。出発直前まで粘ったが、コンビニ以外の2件は開く気配もなかった。

せいぜい1000円程度のものなので、諦められないこともなかったが、せっかく父のために選んだのに、と思うとやりきれない。そこで、2件の店の名前と電話番号をメモし、空港で働いている日本語の堪能な友人に助けを求めることにした。親切な先輩の計らいで休憩時間をもらった友人は、早速店に電話してくれた。すると、1件目で難なく発見!彼女に日本への送料と店までの交通費を託し、送ってもらうことにした。

韓紙は結局2倍以上の価格になってしまったな…

イヤハヤ、失くし物が多すぎて実にロスの多い旅となってしまった。老化現象だろうか???イヤ、今回はヒトの荷物を大量に預かって仕事をしており、それに対する責任で頭がいっぱいで、自分の荷物の管理がテキトーになってしまったのかも…(O_O)。ヒトの荷物を失くすよりいいけれど…。