韓国宿泊の裏技

韓国旅行がし易い訳は、日本と同程度の利便性が備わっている上に、物価が安い事にある。食べ物が安くて美味いのは言わずもがな、滅茶苦茶安い値段で「宿泊」する裏業がいくつも使えるのだ。旅行費に於いて、宿泊費は結構高い割合を占めるから、この部分をクリアできれば、ずるずる長く滞在し続ける事が可能だ。

単独行なら、ゲストハウスのドミトリー。日本における「ゲストハウス」はユースホステルのちょっと上のクラスになるが、こちらでは北米などにおけるバックパッカーズ並みの位置付け。ドミトリーは一泊15000W~20000Wくらい。季節によっては冷暖房が不完全な事もあり、部屋が汚く、また、シャワー設備が貧相で居心地は良くない場合が多い。しかし、インターネットを無料で使える環境があり、英語が通じるから、何かと便利。宿泊客は国際色が豊かなので、旅友達を作りたい人には良い場所だろう。

二人以上で行くならば、韓式旅館が安上がり。一部屋あたりの料金(2000W~5000Wくらい)を徴収されるので、ともすればゲストハウスより安い値段で済む。が、場所によってはやはり清潔でなく、給湯設備が充実していない。居心地の良い場所もあるようなので、実際に部屋を見せて貰ってから決めると良いだろう。

筆者が一番気に入っているのが、二十四時間営業のサウナに泊まる事。韓国では石を熱して釜の中に放り込んだ乾式サウナが主体で、街中至る所に存在する。チムチルバン、二十四時間サウナ、プルガマ、という表示があったらそれが目当ての施設。家族や友人同士で出掛けて一晩中滞在する、なんて事は韓国人の一般的なレクリエーションのようだ。何でこんな遅い時間にこんなに人がいるのだろう、しかも平日のど真ん中に、と思うほど、現地の人々で溢れている。

因みに、こちら、「混浴」なのだが、ドイツのように素っ裸で入る訳ではないのでご安心を(ドイツ編参照)。乾式が主体なので、施設で貸し出される木綿の衣服を着て入る事ができる。タオルも借りられるし、化粧水・乳液、ドライヤー、ブラシなど、洗面用具も揃っている。全日サウナ泊まりなら、荷物も減らせるぞ!

こういったサウナは元来宿泊施設ではないのだが、睡眠室を備えている所もあるし、広い休憩室は床暖房なので、そのまま床に寝転んでも風邪をひく事はない。プライベート空間はないから連日だと落ち着かないが、何分、たっぷりの湯の風呂に浸かる事ができるので、滞在中の二、三日を過ごすのは悪くない。筆者は六泊中三泊した事がある。

大きな荷物がある場合はちょっと不便だが、地下鉄の駅など、至る所に一日1000W程度の安いコインロッカーがあるので、使わない荷物はそちらに入れておけば良い。「連泊」するから、と頼めばサウナで預かってくれるかもしれない。

サウナ三泊中二連泊した「イテウォンランド」は、以前、この近所に住む知人に連れて来て貰った。新装オープンしたばかりで当時は綺麗だったが、一年経ったら既にあちこちガタが来ていた。また、その時はまだ日本人には知られていなかったようだが、約一年後にはあちこちに日本語のサインが張られていた。

sauna2sauna1「まつたペーマ(睫パーマ?)」など、時に著しく間違っているのが笑える。「oil massage」は括弧書きにする必要が?カタカナわかんなかったかな?て言うか、妙なところで漢字と英語が混在しているのは何故?

なんだよ、「りょくめせ」って?

「あせ」って名前のドリンク、とても飲む気になれない…。ポカリ・スウェットを見て「うへぇ」と思う外人の気持ちがやっとわかった。

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イテウォンランドの利用料は、やや高めの10000Wだが、その分施設が充実している。エステ施設、インターネットカフェ、食堂まで整っていて、退屈する事はない。エステツアーではぼったくられるらしい垢すりも、こういう場所では20000W以下でやって貰える。

また、サウナ施設の中には色々な種類の釜がある。30℃程度のマイルドな物から、90℃近くの超高温釜、或いはヒノキの香りがしたり、炭や水晶を配した物など。筆者が最も気に入っているのが、ドーム型の釜の中で火を焚いて暖めたもの(これをハンジュンマク、というのだろうか?)。旅行雑誌で、ムシロを被って入っている写真がよく紹介されているが、筆者が入ったのは夜だったためか、いくらか温度が下がっていて、そのままでも入れるほどだった。とにかく、ここに入ると汗が滝のようにだぁだぁ流れ出てくる。釜から出るとすっと汗が引くが、暖かさは体の芯にずっと残っている。遠赤外線でじっくり暖める感じなのだろうか。老廃物がざばざば出て来るような気がしてとにかく気持ち良い。毎日入ったら健康的だろうなァ…。

はてさて、最後の「裏業」をお伝えしよう。できればこの手は使いたくなかったのだが、あまり地理のわからない地方都市で宿泊した時、成り行き上、利用する羽目になってしまった。

高速バスで到着したその街で。あまり移動したくなかったので、バスターミナル周辺で泊まる所を探す事にした。目の前にごく普通のホテルがあったので、部屋はあるか、一泊いくらか、と訊いたら、80000Wだという。ちと高い。それで一週間は食っていけます…。答えてくれたそのお姉さんに、近所にもっと安い所はないかと訊いてみたら、40000Wの所があるという。お姉さんは親切に外へ出て道順を教えてくれる(全部韓国語のため、理解度30%)。最後に「ホテル」の名前を確認すると、「スティン・モテル」だという。「モテル」は韓国ではいわゆるラブホテルの事だと思うのだが、怪しくないホテルのフロントの綺麗なお姉さんが、涼しい顔で「そこなら大丈夫ですよ」というので、さほど怪しい所ではないのかも、と期待したが、果たして、そこは非常に怪しい所だった。

入口は二重のすりガラスの扉、窓口は狭く、薄暗いホールには下品な色の照明が。が、有り難い事に、お姉さんの言った額より更に安い30000W。窓口のオバさんに明日の昼までいても大丈夫か、と訊くと、なぁに、なんも心配ないよ、大丈夫大丈夫、と、もの凄く気さく。鍵を渡してきたすぐ後に、静かな部屋がいい?と訊いてきて、鍵を交換してくれさえした。たまに一人旅の外人が迷い込んだりするのかなァ???一説によると、韓国では、モテルは「建前上」普通のホテルという事になっているらしい。じゃあ、後述の「あの物体」の説明をなんとする?

さて、怪しい装飾の玄関ホールからエレベーターで上へ上がり、いざ、我が部屋へ足を踏み入れると。なんだ、わりと普通じゃん。と、思ったのも束の間、部屋の奥には「あの物体」、即ち怪しい二人乗りの椅子がぁ!!!は、初めて本物を見てしまった!!!

が、風呂はたっぷりお湯が使えるし、タオルなどの洗面具も揃っていて、至って快適。インスタントコーヒーや、給湯給水器まであった。怪しい椅子の存在さえなければ完璧である。久し振りのプライベート空間を存分に満喫したのだった。わはは。

参考 イテウォンランド(「レンドゥ」と発音する)へのアクセスと利用方法

地下鉄6号線・イテウォン駅下車。3番出口を出て五分ほど歩いて行くと、右手側に急坂の階段がある。この階段を上がった所。受付で10000W払うと番号札をくれるので、その番号の靴箱に靴を入れ、鍵を抜き取る。これがロッカーの鍵にもなる。また、施設内の支払いはこの鍵を使って記録される。飲み物などを買う時は販売員にこの鍵を渡そう。帰りは受付で使った分の清算を済ますと靴箱が開けられるようになる。