韓国人用チョンマルブックが売れない訳
韓国ブームに乗ってベストセラーとなったチョンマルブック。若者の間で話される簡単なフレーズが満載で、同年代の韓国人の友人がいれば、コミュニケーションを取るのに重宝する。
実は同じ内容の韓国語版も出ているのだが、書店に行くと、日本語版の横に倍以上の冊数が平積みされている事が多い。勿論、需要から言って日本人用の方が売れて当然だが、そもそも、韓国語版はどういう人が買うのだろうか?
・日本人用と間違えて買う(間抜けな話だが、筆者の知人に2例アリ)
・比較して楽しむために韓国語学習者が買う
・韓国人の友人に贈り物として買う(筆者の友人に大好評)
・韓国人留学生が買う
思い付くままにそのような状況を列挙してみたが、果たして、韓国人留学生でこれを買う人は本当にいるのだろうか?
日本語と韓国語は文法がよく似ているから、彼らの学習能率は西洋人と比べると格段に高いし、また、日本国内に韓国語話者がそんなにいる訳でもないので、日本で暮らすにはとにかく日本語を上達させなければならない。従って、彼らの日本語能力はすぐにかなりのレベルに達する事になる。チョンマルブックは、恐らく、まともに日本語を学んでいる留学生には簡単過ぎるのではないか。そうだとすれば、韓国人留学生におけるこの本の需要は実際には実に少ない事になりそうだ。
日本語は挨拶程度しか知らない韓国人に韓国語版をあげたら、大変喜ばれた。一時的な「語学熱」にしろ、彼女は大喜びでページを繰っていた。別の知人は、前回会った時に日本語版を見せ、韓国語版もあるのだと言ったら、今度会う時、自分にそれを買ってきてくれ、と催促してきた。
この本を手に入れたからと言って彼らがマメに日本語を勉強するようになるとは思わないが、日本人と知り合ったのを機にほんの少しだけ日本語に触れてみたいという希望は充足される。その程度の事には充分な内容だ。
韓国の書店を何軒か巡ったついでにざっと見回してみたが、チョンマルブックは見当たらなかった。韓国には初歩の日本語学習者も多いので、日本で売れ残っているものを持ち込んだら結構売れると思うのだが、どうだろうか?