ツメの甘い国

タイでシゴトをした時、なんと五つ星ホテルに泊めて頂いた。勿論宿泊代は先方持ちである。ところが、何かとツメの甘いこの国、五つ星ホテルといえども例外ではない。

チェックインする時、ロビーでお茶を頂きながら待っていると、ナント日本人スタッフが応対してくれた。さすが五つ星♪と思ったのも束の間、部屋へ案内され、セーフティボックスの説明に面食らう。重たい直方体の鍵をガッコンと引き抜いてかける超旧式のモノ。日本人スタッフの方も「なんだかねぇー、五つ星ホテルにしては…」と自嘲気味。部屋はさすがに綺麗だったが、バスルームに三センチ余りのちっちゃなヤモリが出現。五つ星に泊まるようなオバさんなら卒倒するぞ!そして、バスルームの扉のペイントがかなりアバウトで、塗り残しやかすれがアリ。因みに筆者が泊まった本館はエレベーターもなく、三階まで重い荷物を持ち上げる羽目になる。勿論ベルボーイがやってくれたが。極めつけは壁が薄いこと。隣の音が丸聞こえ!電話の音、バスルームの水音が実にはっきりと聞こえるのだ。しかもその隣の人というのが知り合いだったりしたので始末が悪い。こっちの音も丸聴こえなワケだから、ウッカリくしゃみも出来ないではないか!

さて、ホテルの方はともかく、当のシゴト先でもツメの甘さにしてやられた。到着翌日、イベント会場に連れられて行ってビックリ。なんとこの暑いタイに於いて、屋外にしつらえられたステージ!もっとも、これはコンテスト出場者のためのステージで、ゲストはもっとマシな空調付きの劇場でシゴトをしたのだが。

それにしても、雨季の終わりとはいえ、夕方頃にはスコールの降る日もある。しかし、ステージの上に屋根はない。大丈夫かな?と思っていたら、コンテストが始まった途端、豪雨。一応客席は庇の下なのだが…飛沫がかかるので最前列の席を取っ払い、筆者がいた二列目の席は三メートル程引き下げる羽目に…。てゆーか、コンテスタントが気の毒だ。タイ人にとってはこの程度の雨はないも同然なのだろうか?仮にそうだとしても、翌日は外国人コンテスタントの部となる。もしまた雨が降ったら、はるばる海外から駆けつけた彼らは二度とこのイベントに参加しなくなることは必至だろうし、知人に参加を薦めることもないだろう。「想定外」の出来事でもないだろうになんとまーツメの甘いこと…。

他にもイロイロあった。物事はオンタイムで進まないのはもう当たり前、到着するなり、あらかじめ頼まれてもいない大層なシゴトを引き受けさせられる。照明と音響のタイミングを指示したキューリストを送っておいたハズなのに、リハーサル会場に来て「受け取っていない」と言われ、そしてリハの時間はロクに取ってくれない。二日連続公演だったから、翌日の公園前に不足分を再リハ出来ると思って頼んでおいたのに「ディレクターが来ない」と言われ、結局出来ずじまい。勿論本番の照明は最悪だ!何もかもスムーズに進行するイベントの方が珍しいと言えば実際そうなのだが、それにしてもココまでドタバタのイベントも珍しい。主催の若い男の子は大変人柄の良い子なのだが、人が善過ぎるせいか押しが弱く、イマイチうまいことまとめ切れなかったようなのだ。