カナダ
第1節 カナダのフツーの人々

菜食ダイエットの効果有り!

1ヶ月半居候させて貰ったKamloopsのお宅を去る日、ホストマザーが言った。

「私、体重が減ったのよ」

以前ここにいたのは、この時期からちょうど5年前だが、飛行場まで迎えに来てくれた彼女は当時と比べるとエラく太ってしまっていた。しかし、会って早々「太ったわね~」などと失礼な事は言えず、その場では驚きを隠していたが、数日後、彼女の方から「私、太ったでしょう?」と言ってきた。

彼女は子供の頃からあちこち体の具合の悪い人で、何度も色々な手術をしてきたそうだ。2、3年前に膝の痛みが酷くなって手術したが、完全には直らず、未だにひどい激痛が走るようだ。そのせいで以前より活発に動けなくなってしまい、仕事に出る日数も減らしたため、余計に身体を動かす機会が少なくなってしまったらしい。完全なる悪循環だ。その上、彼女の食生活は内容が非常に偏っていて、これでは太るのも仕方がなかろうと思った。肉料理だけ、パスタだけ、などという夕食と共に、炭酸飲料や粉末ジュースをがぶがぶ飲むのだ。

筆者の滞在中はとにかく毎日野菜料理を作るようにした。自分自身が食べたいというのが一番の理由だが、彼女も喜んで食べてくれた。野菜が嫌いな訳ではなく、作るのが億劫なのが本当のところのようだった。もっとも、大抵の料理はレシピを見ながら作る彼女にとっては、筆者が有り合わせの材料で適当に作るサラダはとっても独創的で変わった物に見えるようだったが。(サラダにハムを入れるだけで驚かれるのだ!ポテトサラダに人参や胡瓜を入れると驚かれるのだ!)

「体重が減ったの」というのに続いて彼女はこう言った。「多分あなたの野菜料理のお陰だわ」あの程度の事でそんなに劇的な効果があったとしたら、余程それまでの食生活が悪過ぎたのだろう。しかし、もし筆者の料理が本当に彼女の減量を促したなら、ずっと専属フードコーディネーターでいてあげたいものだ。真相はともかく、彼女がこう言ってくれたのは非常に嬉しかった。