ドイツ
第3節 ドイツ就職活動の旅

シュトーレン食べ較べ

ドイツにいる間に、「ここのシュトーレンは美味しいよ~」と、グルメな知人に薦められた(マイスターご高齢のため、現在は閉店している模様)。この時点で筆者は「シュトーレン」とはナンなのか知らなかったが、紹介されたサイトを見てみると、確か以前、ドイツのスーパーか何かで見たことがあるような気がする品だった。ひょっとしたら買って食べたこともあるかもしれない。

シュトーレンとは、ドイツでは有名なクリスマス用のお菓子で、ドライフルーツがたっぷり入ったパンとケーキの中間のようなもの。ドレスデンが発祥の地らしい。

製造所の住所を見てみると、最後に訪れる予定のフランクフルト市内。滞在予定の友人のウチと中心街の間にあったので、出かけるついでに立ち寄ってみることにした。お土産にちょうど良かったし、世話になる友人にもプレゼントしようと思ったのだ。

日本語サイトがあって日本に輸出販売しているようなお菓子なので、値段は決して安くはないだろうが、せいぜい1本数ユーロ程度だろうと踏んでいた。

ところが。

お店は最寄り駅から歩いて2~3分。とても地味な店構えで、よくよく見ると営業…していなさそうである。それもそのはず、扉には販売所の営業時間は午後1時まで、と書いてある。売る気あんのか?と思う前に、なんと東洋人の女性がいそいそと現れて、扉を開けてくれた。日本人である。そもそも、ココは製造所であり、付近のベーカリーに商品を卸すのが主で、直売店での販売には余り力を入れていないということだった。

久しぶりに現れた日本人客に喜び気味の店員さん(それゆえ、閉店後にもかかわらず、招き入れてくれたようだ)。なんと5年近くもココで働いているそうだ。主な仕事は製造で、それも結構キツイ仕事なので、ドイツ人の従業員はなかなか居つかないという。

ひとしきり話をした後、いざ買う段になって、その値段に面食らった!グラム単位で販売するのだが、1本1キロの商品が16~17ユーロもするというのだ!!!!!日本円で約2500円!これでは何本も買うワケにはいかない。とはいっても、ずっしりと重いシロモノだから、そうそうたくさん日本まで持って帰るわけにも行かないが。

しかしまぁ、一旦買うと決めた以上、買うには買った。店員さんの前では平静を装って、その値段に驚いた様子は微塵も見せなかったぞ!1キロのものを2本と、750グラムのものをフランクフルトの友人用に1本。店員さんによると、これでも直販品だから何処で買うよりも安いのだとか。そりゃまぁ、そうだろう。幸い、ドイツ人の友人は一目見るなり、「わ~!コレは良いモノね!」と手作り品の良さを見抜いてくれた。表面の質感を見ればそれが手作りかどうか、わかるのだという。さすが地元民。

が。

帰国後にすぐに他所のお宅にお邪魔する予定があったので、そこへのお使い物にもしたのだが…コレは失敗だった。ドイツのお菓子は味や香りに癖があるので、好きな人と嫌いな人とはっきり別れるのだ。彼らは筆者の目の前で食べてはいたものの、「なんだか変わった食べ物だ」くらいの認識しかしていないようだった。正に猫に小判状態。かと言って、食べ慣れない変なモノを貰った方も有難迷惑だっただろう。テキトーな日本の菓子でも持って行った方がお互いのためだったかも…。筆者にとっては結構好みの味なので、自分用に取り置いた500グラム分は、3日以内にすっかり消えてしまったが。

さて、2週間と置かずに再びドイツを訪れることが急遽決まった。滞在期間中の食料を買いに行ったスーパーで、量販用のシュトーレンを見つけた筆者は、ドレ、手作り品とどのように違うのか、1つ食べ比べてみようと思ってコレを買った。そのお値段、わずか2ユーロ!!!!これで手作り品との味の差が左程なければ、あの時支払った金額はなんだったんだ!と言う話になるが…

廉価版シュトーレンを切ってみると、なんだか切った先からパラパラ崩れていく。生地に粘りがないのか。味は…なんだか…くどい。甘い。帰国日に残った切れ端をランチ代わりに食らったのだが、くどすぎて食べ切るのが辛かった。ていうか、そんなものを食事代わりにした事自体が間違いだったのだが。

まー、とにかく手作り品だったら難なく食べ切れるような分量をクリアするのが辛かったワケで、これで一応、「手作り品の方が品質が高い」ことは証明できた(そうなのか?)。出来たには違いないが…それにしてもこの価格の差は大きすぎる。使う材料もかかる手間も大きく違うのは明らかだが、人々がそれに対して価値を認め、その価格差を受け入れて手作り品を買うのかというと…何分の1もの価格の量販品が身近なスーパーにある以上、その頻度は少ないのではないかと思う。

事実、熟練した職人の工房は年々閉鎖に追い込まれているそうだ。だから日本に輸出ナゾしたりして、生き残りを図っているんだろうね。

因みに、日本で買ったら一体幾らくらいするのだろうかと思い、日本の販売店の価格を見てみると…見てビックリ!ナント直販店の5倍近く?????量販品と比べたら30倍以上!!!!

因みに、質の悪い量販品も、舶来物たる堂々価格で販売されている。2ユーロの品が1000円くらいで。あんなに不味いのに。