英語がヘタなのは日本人だけ?

韓国に限った話ではないのだけど、ここ1ヶ月旅した間に何故か頻繁にこんなことを言われた。

「アナタは英語が上手ね!普通、日本人は英語がヘタなのに…」

ぇと~、ともすれば、それって、日本人のアタシに向かって結構失礼な発言ですよ?前半まででやめといてくれればいいのに、何故皆まで言うかな?

今度こういう人に会ったらこう言ってやろうか。

「ガイジンってあんまりデリカシーがないよね!日本人の奥ゆかしさを学んで欲しいわ!」

確かに、日本人の話す英語には時に著しい日本語訛り(子音のみの発音に母音をくっつける、アクセントの位置がおかしい、あるいは平板すぎる等)があり、ネイティブにも他の外国人にとっても、これがとても聴き取り難い原因となっているようだ。だけど、何も英語がヘタなのは日本人だけではないのだよ!何故日本人だけがこうも槍玉に挙げられるのかな???筆者が日本人だから、敢えてそういう発言を耳にするのだろうか?イヤ、単なる憶測だが、韓国人が「韓国人ってフツー英語がヘタだけど」フランス人が「フランス人ってフツー英語がヘタだけど」とは言われていないような気がする。どうだろう?彼らの中にだって、「フツーに英語がヘタな日本人並みに英語がヘタ」な人はいっぱいいるぞ!

事実として、筆者がこの1ヶ月に出会った英語がヘタな人々(国民)を挙げてみよう。まず、ストックホルム発クアラ・ルンプール行きの飛行機の中で会った東洋人のオバちゃん。荷物を上に上げるのを手伝ってあげたら、どこに行くの?ナニ人?とか訊いてきた。日本人で、マレーシア経由で日本に帰るところだ、という話をすると、件の発言だ。しかし。かく言うオバちゃんも決して英語が上手かった訳ではないぞ。訊けば、オバちゃん、ニューヨーク在住30年(その割には英語が…)、久々に台湾に里帰りするのだという。

因みに言うと、マレーシア航空には世にも不思議な長距離路線が二つある。いずれもクアラ・ルンプール発で、最終目的地はN.Y.とL.A.途中経由地は、何故かストックホルムと台北だ。オバちゃんはN.Y.からストックホルムとクアラ・ルンプール経由で台北に向かうところだったワケである。

トランジットで寄ったマレーシアでも、決して皆さん英語が無茶苦茶上手い訳ではない。空港職員ですら、きっつーい訛りがあって、かなり聴き取りづらかった。
街中のインターネットカフェでこんなことがあった。用事が済んでお金を払おうとすると、受付のお姉ちゃん、「Did you bring?」と言う。

は?

持ってきたって?ナニを?
つーか、他動詞なのに目的語がないんですけど。

さっぱりわからないので何度も聞き返し、ようやく「何か印刷したか」と聞いているのだとわかった。マレー語も韓国語と同じく、口の形だけ残して語尾の子音を発音しない傾向があるので、「print」の「t」の音が全く聞こえなかったのだ。

駄目押しは、何故か韓国で、英語のどエラいヘタなフランス人に会った。筆者はイベント会場で物品の販売をしていたのだが、エラいセクシーな若いおねえちゃんがやってきて(ダンナはヤケに年寄りだ)筆者の商品を卸値で買いたいと言う。ダンナもここでブースを出しており、フランスでディーラーをやっているから、品物がよければ今後卸をしてもらいたいので、サンプルとして1セット買いたい、それを卸価格にしてくれ、と言っているのだと解釈した。ていうか、筆者が「…っていうことだよね?」と噛み砕いて言い直すと、「そうそう」とか言っているものの、どうもおねえちゃん個人で使うだけのような気も~~~。ディーラー同士だと、卸だけでなく、単純な買い物でも割引したりはするんだけど…おねえちゃん、英語がヘタなのを逆手にとったか?(わからない振りをして自分に都合よく事を運ぶ)

いわずもがな、韓国人も英語がヘタな人はとことんヘタで、一言も発せないのは若い人でもゴマンといる。話せても、発音が酷い人は結構酷い(でも不思議なことに日本人よりは上手いと信じ込んでいたりする。だから筆者が日本語訛りの薄い英語を話すと余計に驚かれるのかも)勿論、エライ優秀な人もいるけれど(日本語英語ともにペラペラの通訳さんがいた!!!)それは何処の国の人でも同じ。

要は、英語の上手いヘタは出身国に寄らない、ってことなのだ。確かに、インド・ヨーロッパ語族の人はやる気になれば我々アジア人より上達しやすい。また、国の教育方針によって、やる気になる素地が出来やすくなっており、若者は一様に英語を話せるという国もあるワケだが、しかし、やる気も興味もなければいずれの国の人もいかんとも上達したりはしないのだ!

韓国では、就職にTOEICのスコアが必要だそうで、筆者の知り合いの大学生は皆ひぃひぃ苦しんで勉強しているようだが、かといって、英会話が自由に出来るかというとそうでもない。TOEICだって、所詮受験勉強だからね。近々ヒアリングとスピーキングも試験項目になるそうだけど、果たして、スコアと実力が比例するようになるのだか?

筆者の場合、発音はまぁまぁマシな方だと思うが(それゆえ英語が出来ると勘違いされる)語彙は乏しいし、文法知識も怪しい。ネイティブでない人たちとの会話や、1対1での会話なら何とかなるが(いわゆる、旅行で困らない程度)英語のビジネス畑へエイッと放り込まれたら、ひとたまりもないだろう。

しかし、少なくとも「英語が苦手」と思って萎縮している人より優れている点は、「ナンとかすればナンとかなる」と思い込んでおり、会話の相手が誰であろうと「英語がヘタでゴメンね」とは決して言わないこと。ていうか、「ネイティブでないんだからできなくて当たり前じゃん」と開き直っているあたりだろうか。こちとら誠意を込めて外国語で対話をしようと試みているのだから、なにも謝る事などないのである!とりわけ英語しか話せないようなネイティブに対しては「あんたらが日本語を話せないからこっちが英語で対応してやってんだよ!!!」くらいの気持ちでいいのだ!

英語で話す時はとにかく思いついたことをよどみなく喋り続ける。間違っていようとお構いなく。間違いに気付いてもお構いなく。相手が言い咎めることなど殆どなく、小さなミスならそのまま聞き流しつつ、意を汲み取ってくれる人が大半だ。なんていう方針で話している「英語の上手そうなネイティブでないガイジン(西洋人)」は結構多く、ガイジンの誰も彼もが完璧な英語を話しているというワケではない。皆、結構酷い英語を話しているよ。ラテン系の人は、フランス人を始め、訛りも酷い!ボキャブラリーだって怪しい。

この前なんか、ドイツ人の姐さんに「ねえ、これ、英語でなんていうんだっけ!ほら、ここ、ここ」と、手の甲に突き出た骨の節を指しながら言われた。

「えっと、bone(骨)?」
「そうそう!」

どうも、近所の博物館にある恐竜の化石の話をしたかったらしい。その場合は「fossil (化石)」の方が適切だよ。